YANASE LIFE plaisir SEPTEMBER/OCTOBER P.28~29「Professorに聞いてみました。」

Professorに聞いてみました。
住む人の個性を引き立たせる住まい。
「住まい」の個性とは、そこに住む人の個性をいっそう引き立たせ、暮らしを愉しくさせるためのもの。この住まいは、控えめだが明確な個性を主張している。
稲葉みちよ Michiyo Inaba
ファッション・デザイナー。NPO法人日本文化経済リサーチセンター理事。東京田中短期大学客員教授。1993年横浜元町にショールームショップ「ブティックAURA」を開設。1997年春夏コレクションより東京コレクションに参加。これまでに東芝、花王、TBSなど各社との共同企画開発、コンテストなどの審査員、コメンテイター、NHK情報化メディア懇談会講師などを務め、NTTデータなど、デザインを手がけた制服も数多い。
「家事をしたり、食事をしたり、くつろいだり。その行動シーンに合った服を着ることが、生活のなかにファッションを取り入れて楽しむということなのだと思います。ですから、自然にそういう気分にさせてくれる家こそ、 私にとっては理想の住まいということになりますね」
IT時代にマッチした“働きやすさとエレガンス”にこだわる衣服や機能的なグッズのデザインを提案し続ける気鋭のデザイナー、稲葉みちよさんの“住まい観”である。
「いろいろな服を着せ替えた自分を、もう一人の自分が評論家のように見て楽しむ、そんなシーンを想像したとき、この住まいは、どんなファッションでも自然に映える要素を持っていると思います。ウッディな床と壁面のバランスがとてもいいんですね。広さと色調のバランスが。シンプルだけど、無機質でなく温かみがあって、統一感がある。どこにいても、自分を引き立たせてくれて、いろいろなファッションが楽しめそう」
「服の色は自然光で映えるのが基本ですが、住まいも、照明を含めて光の取り入れ方とか、それを生かすスペース設計はとても大切なのではないでしょうか。この住まいは、特に自然光が優しく溢れている感じで、吹き抜けや、窓の設計に気を使っていることがわかりますね」
「それから、階段はちょっと未来的に金属を使用していますね。これ、とっても好き!ウッドで統一された床とのバランスがちょうどいい。家の外での現実的な都会の生活空間はハイテックな素材で溢れているでしょ。ですから、自分の住まいに帰ったとき、自然の素材で満ちすぎていると、かえって違和感というか、ストレスにつながるのでは、と私は思うのです。ファッションデザインもそうですが、金属を目に見えるところに上手に使うことによる効果って絶対あるんですよ」
「それから、この別荘のような“離れ”は、とってもおもしろい。後から設計されたそうですが、母屋から違和感なくスーッと山小屋風の別世界に入っていける。木の使われ方とか窓の大きさや色調を含めて、デザインに踏襲感があるからでしょう。とてもよく考えられていると思います。この住まいのように、住む人を引き立たせてくれる家を設計するのは、服のデザインワークと共通する部分がありますね」


