繊研新聞 5面

インタビュー
デザイナー・東京田中短期大学客員教授 稲葉みちよ氏
中国で学生と一緒にショー
ワッツアップ(本社横浜)のレディスブランド「ミチヨ・イナバ」のデザイナー、稲葉みちよさんが客員教授を務める東京田中短期大学の学生とともに、中国・紹興市でファッションショーを開く。一大繊維産地との交流を通して、学生のブランド設立につながれば、と力が入っている。
「台風」テーマに
――どんなショーですか。
9月10日から12日まで紹興市で開かれる国際紡績交易大会で、大会を盛り上げるイベントとして披露します。田中短大の河合徹学長の、中国側との交流がきっかけで浮上した計画です。紹興市に提供していただいたシルクのプリントやジャガード、ニットなど現地生産の生地を使い、学生が50体の作品に仕上げます。構成は私が考え、指導していますが、主人公は学生。制作には50人ほど参加しており、そのうち20人が現地に行きます。ショーの演出は「台風」がテーマで、これも学生が考えました。うんと驚いてもらおう、というわけです。単位が取れる授業ではないので、みんな自主的に制作しているのですが、夏休みを返上して、いい作品ができています。
「産地を盛り上げ」
――ショーの意義は。
紹興市の市長がとても乗り気と聞いています。ショーのモデルも市民から募集しており、まずは産地との接点を作りたいのです。そして学生にとっては、ビジネスを学ぶツールでもあります。若い人たちに意欲はあるのに、就職できないなどの問題が大きくなってきている。ならば、学生が自分たちでブランドを作ってもいいのではないのでしょうか。製作のサブタイトルに掲げた「ファシネート・ファクトリー」(魅了する工場)は、そのブランド名にしようと考えています。今回のショーは文化祭でなく、将来にわたって学生がファッションの世界で生きていける何かにつなげたいのです。
――日本でもそうした取り組みを行いますか。
横浜ファッション協会の会員として横浜を拠点に活動しており、デザインを担当した企業ユニフォームの縫製などを地元の工場に依頼しています。スカーフで有名な横浜には、三つ巻き(端の処理)など学生に伝承してほしい技術もたくさんあるのです。ファッションはデザインがすべてでなく、技術が伴わなければ成り立たないということをベテランの方々にぜひ教えていただきたい。学生の中にも自分は縫製をやりたい、という人がいるんです。その橋渡しをしたい、産地を盛り上げたいという思いは、中国に対しても横浜でも同じです。



