産経新聞 25面



デザイナーの卵 発表舞台は中国
東京田中短大の学生がファッションショー 横浜のプロが指導、学生意気込む


東京田中短大」(旧東京服飾造形短大、東京都町田市)の学生が九月、中国・紹興市でファッションショーを開くことが三十一日、明らかになった。横浜・元町で活動し、東京コレクションにも参加しているファッションデザイナー、稲葉みちよさんが学生を指導、ショー全体をプロデュースする。準備に追われている学生らは「世界の舞台でできるめったにない機会。責任感を持ってやりたい」と意気込んでいる。学生によるブランドを立ち上げる計画もあるという。(水野拓昌)

 紹興酒で有名な紹興市は紡績工場の集積地で、中国ファッションの産地。紹興市では毎年、生地の見本市である「紡績国際会議」が開かれており、ファッションショーは同会議の新しいメーンイベントになる予定だ。一月に就任した河合徹学長が知人を通じて中国側と意見交換を進めるうちに話が進んだという。

 同短大が改称した四月に客員教授に就任した稲葉さんは、服飾造形科の全学生を対象にデザイン画を提出させ、すべてチェック、約五十人の六十五体を選んだ。実際に出品する作品は五十-六十体になりそうで、「デザインが選ばれなかった学生も刺繍(ししゅう)などで協力してもらい、みんなで作り上げた形にしたい」と稲葉さん。紹興市にも学生十人前後を連れて行く予定だ。

 二年生の川端湖(うみ)さん(19)は「昨年の学園祭は制作者の自己満足。見た側も満足できるショーに進化したい」、専攻科の岡田治樹さん(21)は「世界の舞台でできる。プロ意識、責任感を持ちたい」と中心メンバーはやる気十分。連日、放課後に打ち合わせを重ね、昼休みもほかの学生への連絡などに追われている。日本と紹興の生地を織り交ぜて作品を仕上げ、モデルは紡績工場の従業員を身長で選ぶ構想で、男性一七三センチ、女性一六五センチに設定して服を仕上げる。

 ショーのテーマは「一衣帯水-Fascinate Factory(ファシネート・ファクトリー、魅了する工場)」。「一衣帯水」は「一筋の帯を引いたような狭い水の流れ」の意味から離れていない位置関係を表し、日中関係をたとえる言葉としてよく使われる。

 また学生ブランドの立ち上げ、学生起業を目標にしており、稲葉さんは「就職難の今、卒業しても就職できないと嘆くだけではダメ。クオリティーを高め、学生時代にビジネスを経験し、何に向いているかを知った方がいい。アパレル業界も経験者が欲している」と話している。